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医師・医療関係者のみなさまへ
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時事
府医ニュース
2017年11月29日 第2839号
中央社会保険医療協議会は11月10日、総会で在宅医療についても議論した。まず、併設する介護施設入居者等への診療に関する課題と論点において、▽併設する有料老人ホーム等の入居者等を訪問診療する場合、実態としては外来診療と訪問診療の中間的な取り扱いとなることから、そうした患者への医学管理に係る評価を新たに設けてはどうか▽介護医療院については入所者として想定されている患者の状態や医療ニーズを踏まえつつ、介護療養型医療施設や介護老人保健施設における取り扱いを参考に、医療保険と介護保険に係る給付調整の取り扱いを整理してはどうか――との案を提出した。
医療機関とケアマネジャーとの連携に関する課題と論点においては、末期の悪性腫瘍の在宅患者について、患者の状態の変化に伴い適切なサービス提供を可能とする観点から、医療機関とケアマネジャーとの間の情報共有・連携等を、在宅時医学総合管理料等の要件としてはどうかとの提案がなされた。
看取りに関する課題と論点においては、▽患者や家族の希望に応じた看取りを推進する観点から、ガイドラインを参考に行われる医療等の提供方針の決定プロセスについて、診療報酬上の位置付けを検討してはどうか▽看取りについては様々な希望があることから、在宅で療養している患者が在宅の主治医と病院との連携の下で、本人や家族の希望に基づき最後を入院で看取った場合の評価を検討してはどうか――との案も提出した。
更に、1人の患者に対して1つの医療機関の医師が在宅患者訪問診療料を算定している場合、その患者に対して別の医療機関の医師が訪問診療を行っても、在宅患者訪問診療料を算定することはできない取り扱いとなっていることに関して、富山県の施策と認定NPO法人「長崎在宅Dr.ネット」の例を取り上げた。在宅で療養する患者は複数の疾患に罹患している患者が多い点や在宅医療を実施していない医療機関の理由として、「スタッフがいない」「時間的余裕がない」「夜間の対応等身体的な負担が大きい」等があり、地域の医師会が中心となり在宅医師によるグループ診療を支援する事業を実施している地域や、複数の医療機関の医師が連携して24時間対応を含めた診療体制を構築している事例があることに注目した。
以上から、▽在宅における療養計画に基づき、主として在宅医療を担う医療機関の医師が、患者・家族の同意の下で他の医療機関に当該患家への訪問診療を依頼し、当該他の医療機関がそれを実施した場合に診療報酬上の評価を設けてはどうか▽地域医師会の協力により、在支診以外の医療機関が他の医療機関と連携して、24時間対応を含めた在宅医療体制を構築し、訪問診療を提供している場合には、一定の評価を検討してはどうか――との案も議論された。複数医療機関による訪問診療が認められ、異なる科の専門医がチームで医療を提供することは、在宅医の負担軽減による在宅医療の拡充のみならず、在宅医療のレベルアップにつながり、患者の要望に答え得る在宅医療体制の構築を成し遂げることになると考える。(中)