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医療問題研究委員会

府医ニュース

2017年11月29日 第2839号

府医役員が担当分野を講演

 大阪府医師会は11月8日午後、第8回医療問題研究委員会を開催。府医役員4名によるプレゼンテーションが行われた。現在、同委員会ではチームごとに順次報告を行っており、参考に資するよう、役員より担当分野を中心に話題提供がなされた。
 はじめに、武本優次理事が「高齢社会の中の社会保障としての医療」をテーマに講演。我が国における現状と課題を示すとともに、高齢化に見合った社会保障財源の確保などを訴えた。続いて、大平真司理事が医療事故調査制度開始に至る経緯や、府医の取り組みを具体的に述べた。その上で、同制度の目的は、医療安全の確保と質の向上であると改めて強調した。笠原幹司理事は、「医事紛争の現状と府医の取り組み」について言及。日本医師会および府医の医師賠償責任保険などを詳しく紹介した。最後に栗山隆信理事は調査委員会の活動に触れた。会員意見調査などの調査集計結果を内外に周知・啓発することで、会務や医療政策に反映されることを目指しているとした。
 出席委員からは、超高齢社会における医療の在り方などに関して質疑がなされた。
 また、これに先立ち、10月11日の同委員会では、専門医制度について宮川松剛理事が講演。新たな専門医制度が内包する諸課題を挙げ、今後の動向を注視していくとまとめた。

医師会への率直な意見を聴取
医療モニターと府医が懇談

 大阪府医師会(茂松茂人会長)は、医療に関する問題点の指摘・提言を医師会外から求め、会務の運営、医道の高揚に資するため、昭和56年より医療モニター制度を設けているが、11月2日夕刻、大阪市内で医療モニターとの懇談会を開催。府医側からは、茂松会長はじめ役員および「医道に関する特別委員会」委員がオブザーバーとして出席した。
 冒頭のあいさつで茂松会長は、人口減少に入った日本において、国民が年齢を重ねても安全、安心に暮らすことができる社会の構築に向け、府民・国民とともに考えていきたいと言及。更に、多死社会を迎えた今日の状況を踏まえて、社会保障制度の在り方についても医療モニターから率直な意見をもらいたいと述べた。引き続き、2年間の任期中に多くの提言・意見を寄せた医療モニター6人が、制度発足以来初めてとなる表彰を受けた。
 その後、茂松会長と中尾正俊副会長から話題提供があり、モニターと府医役員が意見を交換をした。まず、茂松会長が「日本の医療はどうなる/成熟社会・低成長社会を迎えて」と題して、戦後の日本の財政収支と社会保障の変遷について紹介。企業の内部留保や個人資産の格差の顕在化など、国民とともに考えていく必要性を指摘するとともに、適正な医療を提供するための体制構築に努めると語った。
 また、中尾副会長からは、「地域包括ケアと介護予防・日常生活支援総合事業について」と題して報告。人口減少と生活支援ニーズの増大など、地域包括ケアが求められるようになった背景を説明した後、介護予防・日常生活支援総合事業、介護予防ケアマネジメントなどを具体的に紹介した。
 モニターからは、医師会の活動や実現すべき社会保障の未来について意見交換が行われていることを政治家に伝える機会を設け、積極的な提言をすることも必要ではないかとの意見も出された。