
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
府医ニュース
2017年11月29日 第2839号
大阪府医師会は11月1日午後、府医会館で平成29年度HIV医療講習会を開催し、医師や医療従事者などが聴講した。
開会にあたり、中尾正俊副会長があいさつ。大阪府ではHIV感染を認知せずエイズを発症して初めて感染が判明する「いきなりエイズ」の発症率が非常に高く、また、特に若年者のHIV感染者が多い傾向にあると説明。今後は、HIV感染者が拠点病院のみでなく、一般の医療機関を受診する場面が多くなる可能性もあると述べ、本講習会が日常診療の一助になればと期待を寄せた。
白阪琢磨氏(感染症対策・予防接種問題検討委員会委員長)が座長を務め、まず、三田英治氏(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター統括診療部長)が「HIV感染症に合併する肝炎の診断と治療」をテーマに登壇。HIV感染症の合併症で、特に重大なC型肝炎およびB型肝炎の診断・治療について詳説した。C型肝炎の治療は、近年飛躍的に進歩し、慢性肝炎や代償性肝硬変ではインターフェロンフリー療法が主流になったと説明。ウイルスの型に応じた薬剤の併用療法を行い、排除を目指していると述べた。ただし、ART(HIVの強力な抗ウイルス療法)で用いる薬剤と薬物相互作用を有するものも多いため、専門医の下で加療することが望ましいと加えた。また、B型肝炎の治療法についても解説し、肝炎のコントロールは生命予後を改善するために重要であるとした。
引き続き、「性感染症としての見地から」と題して、古林敬一氏(そねざき古林診療所長)が講演。まず、無症候期の感染者が一般病院・診療所を受診した際に発見し、専門医療機関につなげていくことが求められると強調。HIV感染者の早期発見のため、感染リスクが高いとされるMSM(Men who have Sex with Men)の特徴を示し、日常診察の中で疑いを持った場合は積極的にスクリーニング検査を勧めるよう呼びかけた。あわせて、近年の梅毒流行に鑑み、当該疾患においても早期発見の重要性を改めて強調した。