
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年11月1日 第2837号
平成37年には約700万人に上ると推計される認知症の人を支援するため、国は「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)を策定。この一環として、大阪府医師会では、大阪府・大阪市との共催により「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を毎年、府医会館で実施している。同研修は、府民にとって身近な存在であるかかりつけ医が認知症の診断・治療、担うべき役割などを知り、理解を深めることを目的としている。この度、東大阪三医師会(布施・河内・枚岡)は、三医師会として初となる同研修を10月7日午後、同市内で開催。認知症サポート医である医師会員3人が講師を務め、45人が受講した。
主催者を代表してあいさつした中西忍・布施医師会長は、認知症の人を支援するには、すべての医療機関で医師のみならず、医療・介護・福祉関係者の対応力向上が求められると説明。より多くの会員に受講機会を確保するため、研修を開催するに至ったと述べた。また、東大阪三医師会が市から受託している認知症初期集中支援チーム「東大阪市オレンジチーム」の活動に関与する医師がまだ少数であることから、積極的な参画を求めた。
最初に、「かかりつけ医の役割」として金沢龍起氏(河内)が講演。患者に認知症が疑われた時、専門医の紹介や介護保険申請から認定、そして介護サービスを受けるまでの流れ、ケアマネジャーや地域包括支援センター、訪問看護師を含めた多職種との連携などを説明した。またMCI(軽度認知障害)から認知症への移行を予防するために、食事や運動を中心とした生活習慣の改善に努める必要があると指摘した。
続いて、西村雅一氏(布施)が「認知症の診断と治療、対応」と題して講演。中核症状としての記憶障害▽実行機能障害▽病識の欠如▽失行・失語・失認▽BPSD(周辺症状)▽暴言・暴力▽抑うつ――などについて説明した。加えて、アルツハイマー型やレビー小体型の特性を紹介。認知症なのか、老化によるもの忘れなのか、うつやせん妄など認知症を除外する状態、疾患などを解説した。その上で、「認知症の人に見えている世界」を理解するとともに、早期発見・早期治療が重要だとした。
「連携・制度」については、田仲みすず氏(布施)が解説。認知症の適切な治療は「薬物療法」「非薬物療法」「介護(ケア)」の3本柱で、いずれも不可欠であると強調。更に、地域の連携体制、かかりつけ医の役割を理解し、介護保険、成年後見制度・高齢者虐待防止法等の権利擁護の仕組みの概要が説明できることを目標に掲げ、地域包括支援センターや認知症疾患医療センターの機能、各職種が果たす役割について説明を加えた。また、ケアパスとしても活用できる「認知症あんしんガイドブック」や「おれんじメモ」のほか、「SOSオレンジネットワーク」の活動、取り組みなどを紹介した。
本研修を受講することで、府医生涯研修システム3単位、日医かかりつけ医機能研修制度応用研修1単位の修得が可能。併せて大阪府より修了証書が交付される。