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時の話題

医師の働き方改革に関する検討会

府医ニュース

2017年11月1日 第2837号

改革推進には診療報酬の適切な評価と国民の理解も重要

 9月21日に開催された第2回「医師の働き方改革に関する検討会」において、厚生労働省は「医師の勤務実態」に関する調査結果を提示した。これは、医師の働き方改革を検討する上で、医師の勤務実態の精緻な把握、労働時間の捉え方が必要との認識から、平成28年12月に行われた調査の結果である。調査は、全国の医療施設に勤務する医師約10万人を調査対象とし、1万5677件の回収を得た。
 調査結果によると、週当たり勤務時間が60時間以上の常勤医師は39%であり、そのほとんどが病院の常勤医師であった。勤務時間が長くなると診療時間、診療外時間、待機時間のいずれも長くなるが、待機時間の占める割合が大きくなっていた。なお、本調査での待機時間とは、当直の時間(通常の勤務時間とは別に、院内に待機して応急患者に対して診療等の対応を行う時間。実際に患者に対して診療等の対応を行った時間は診療時間にあたる)のうち、診療時間および診療外時間以外の時間と定義した。
 勤務時間は診療科によって差があり、産婦人科は61時間42分と長く、精神科は51時間14分と短かった。診療外時間と待機時間の合計は、いずれの診療科においても週10時間以上であった。60時間以上の割合では、産婦人科で53.3%、臨床研修医48.0%、精神科で27.5%、放射線科28.5%と診療科によって2倍近くの差があった。月当たりの当直回数は0回が46%、1~4回が42%、5~8回は10%であった。当直回数が増加すると、診療時間と診療外時間に大きな変化はないが、待機時間が顕著に増加していた。勤務時間が週60時間の割合は、いずれの年代でも男性の方が多いが、20歳代では大きな差は見られず、30~50歳代で差が大きく、60歳代以降では差が小さくなっていた。20~40歳代の子どものいる女性医師の勤務時間は、他と比べて短いが、50歳代以降はその他の区分と同程度の勤務時間となっていた。また、子どものいる女性医師は50歳代から勤務時間が増加するが、その他の区分は、年代が上がるにつれ勤務時間は短くなっていた。週当たりの勤務時間は、大学病院が約64時間と長いが、診療外時間が約17時間半と特に長く、勤務時間に占める割合は約27%と高かった。都市部と地方部では、週当たりの勤務時間は地方部の方が少ない傾向にあった。
 今回の調査結果から、医師の働き方改革を検討する上で、診療科による勤務時間の多様性、待機時間の考え方、特に子どものいる20~40歳代の女性医師の問題などが明らかとなった。検討会では引き続き、医師の勤務実態、勤務環境改善策、働き方と医療の質や安全性、健康との関係などについての検討が行われる。30年1月に中間整理の上、「医師需給分科会」での32年度以降における医学部定員の検討に反映し、31年3月を目途に報告書の取りまとめを行う予定である。医師の働き方改革推進には、これら多面的な検討が必要であるが、診療報酬の適切な評価と国民の理解も重要であると考えられる。