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医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会役員と府医役員との懇談

府医ニュース

2017年11月1日 第2837号

厳しい状況打破に向け団結を

 大阪府医師会役員と府医勤務医部会役員との懇談が9月7日夕刻、府医会館において開催された。厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」で議論が進む中、勤務医部会役員から勤務医が置かれる厳しい現状が報告されたほか、府医役員と活発な意見交換が行われた。

勤務医の声受け止め活動

 中島康夫・府医勤務医部会副部会長の司会で開会後、茂松茂人・府医会長があいさつ。医師が「労働者」「サービス提供者」といった見方をされるようになったのは、小泉純一郎元首相が「医療はサービス業」と発言して以降だと指摘。来年4月の新たな専門医制度の始動にも呼応し、医療分野でも働き方改革の議論が進んでいるが、真の医療の在り方を求め、地域医療を崩壊させてはならないと強調した。その上で、最前線で医療現場を担う勤務医会員の声を医師会として受け止め、しっかりと活動していきたいと語った。
 懇談では、福田寛二・同副部会長(府医理事)が座長を務めて進行。まず、幸原晴彦・同副部会長が「働き方改革の中での新たな専門医制度」について発言した。幸原副部会長は、今後の医療界は定形的な思考では成り立たなくなるとの見解を提示した。次いで、「医療費の増嵩が医師の幸福につながるのではないか」との従前の自身の考え方が誤りだと思うに至った経緯を報告。勤務する河内長野市で、10年にわたり、患者への情報提供やICTを活用した医療提供の仕組みを整え、行政や地域の診療所からの協力を得て改革を図ったが、期待どおり進まない現状にもどかしさを示した。この要因として、病院の協力が十分にないことを指摘。医療制度の変革を求めるには、医師会の理念を広く発信し、府医や日本医師会を通じて強力にアピールするしかないと強調した。これを受けて、茂松会長も、「現状では、国民に医療に関する正確な情報が届いていない。医師会が率先して啓発すべき」と応じた。
 その後、同部会常任委員の一番ヶ瀬明氏、家永徹也氏、田村信司氏、木島祥行氏、宮越一穂氏が指定発言を行った。そして、▽女性医師支援について▽新専門医制度導入後の将来のキャリアパスについて▽救急医療を担う専攻医の確保▽高度専門病院への医師偏在▽労働基準監督署の指摘を受けた当直勤務への手当て――などが報告され、関連発言が途切れることなく続いた。
 最後に、中島副部会長が、懇談で示された現状について、「勤務医のみならず、すべての医師が認識し、改善を目指していかなければならない」と締めくくった。