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医師・医療関係者のみなさまへ
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時事
府医ニュース
2017年10月25日 第2836号
平成30年度介護報酬改定の目玉は、介護医療院の創設とも言われている。これまでの療養病床の在り方等に関する議論を踏まえ、介護医療院は、介護療養病床の医療機能を維持し、生活施設としての機能を兼ね備えた施設である。すなわち、介護医療院は、地域包括ケアシステムの5要素(医療・介護・生活支援・予防・住まい)のうち、介護療養型医療施設が持つ「医療」「介護」「生活支援」に加えて、「住まい」の機能を持った長期療養を目的とした施設であり、在宅復帰を目指すことが主目的の施設ではない。
療養病床の在り方等に関する特別部会において、介護医療院の有する機能については、主な利用者像を療養機能強化型A・B相当(重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者など)とした類型(1)と、それよりも比較的容体が安定した者に対応する介護老人保健施設相当以上の類型(2)の2種類とすること。また、長期療養を支える観点から、日中だけでなく、夜間に必要な医療を提供できることが重要であり、効率的なサービス提供の観点から、1施設で介護医療院の類型(1)と類型(2)の両サービスの提供を可能とすること――が提言されている。
サービスの提供単位に関しては、これまで介護療養型医療施設で行われてきた病棟単位でのサービスを参考に、病棟に代わる「療養棟」単位を基本とするが、小規模な病院や有床診療所が転換する場合には、療養棟単位ではなく、療養室単位でのサービス提供を可能とすべきである。
人員配置については、介護医療院の類型(1)に求められる人員は現行の介護療養病床(療養機能強化型)の人員配置を継承し、類型(2)に求められる人員は夜間の看護職員の配置を念頭に介護療養型老人保健施設の配置を参考とするべきである。医師の宿直は義務とするが、医療機関を併設しない単独型の類型(2)については夜間の医師の体制をオンコールでも良いこととするべきである。
生活施設としての機能を考慮し、個室やユニット型を理想とするが、多床室であってもプライバシーに配慮した療養環境を提供することが重要であり、1室あたり定員4名以下、床面積8平方メートル/人以上とすべきである。また、転換にあたっては、大規模改修まで床面積6・4平方メートル以上を可とする等、経過措置が必要である。
設備については、処置室、臨床検査施設、X線装置、酸素等のガスを供給できる構造設備など、病院・診療所の設備を参考とするが、病院・診療所に併設する場合には、設備の共用を可能とし、食堂・談話室・レクリエーションルーム等の生活施設を設けるべきである。
療養病床だけでなく、一般病床からの転換が進めば、10万床を超えることもあり得ると言われている。しかし、転換が進むかどうかは来年1月下旬以降に明らかになる介護報酬の水準次第と考えられる。(中)