
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2017年10月25日 第2836号
東成区では、防災週間(8月30日~9月5日)の期間中である9月3日、「午前8時15分に大阪市域で震度7の直下型大地震が発生した」との想定で区内8地域が一斉に訓練を実施し、300人を超える区民が参加した。
近年、大阪では自然災害が少なく、防災に関する意識が高まらない状況が続いていたが、東成区医師会は、区内各地域での震災訓練にあわせて、区役所および今里地域の町内会と協力した初期初動医療救護活動訓練を企画。これに臨むべく、昨年10月より溝口誠・大阪市危機管理室参与を区医師会館に迎え、区役所の防災担当者とともに合計4回の防災研修を行った。同時に、医師会の防災マニュアル作成を試み、参加者には徐々に災害対策の意識と医療現場での災害対処への臨場感が生まれてきた。
訓練の舞台は、平成24年度の在宅医療推進事業の際に揃えた防災救急道具などが置かれている今里小学校とし、大阪市のモデルになっている訓練実施計画を基に行った。
訓練当日は、猛暑日が過ぎた日曜日で、幸いにも晴天に恵まれた。午前9時に区内全域の避難勧告の発令とともに訓練が開始され、医療関係者では、医師会員11名、看護師3名、歯科医師1名、薬剤師1名、病院事務2名が集合。施設ごとの安否確認や、医師会本部・救護所の開設、在宅医療患者の安否確認および医療対処のほか、避難所での負傷者トリアージと救護治療、重傷者の病院搬送訓練を行った。医師会本部では、当小学校区の代表医師より防災無線で情報を収集し、状況確認の訓練も実施した。
約2時間の訓練ではあったが、参加した医療関係者は震災直後の医療対策の現場の姿を感じ取ることができた。振り返ると、この訓練を経験した私達医療者は、東南海大地震などが予想される中で区民の命を救う使命と、自身と家族の命を守る使命との狭間で危機感を常に持ちながら日々を送っており、更には自然災害だけでなくあらゆる災害に対応する気構えを持たなければならない職業であると、改めて感じる1日であった。
写真・記事提供 東成区医師会長 中村 正廣