TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第33回プライマリ・ケアを語ろう・おおさか勉強会 開催報告

府医ニュース

2017年10月18日 第2835号

患者の意志決定支援ツールを研修

 日本プライマリ・ケア連合学会の大阪地区勉強会である「プライマリ・ケアを語ろう・おおさか」第33回の会合が8月27日、大阪市内で開催された。同会は会費のみで運営され、自由度を重視し、参加型・体験型の企画を特長としている(代表世話人は梶山泰男氏/中央区東)。
 人生の最終段階における医療体制が国を挙げて整備されようとしている中、今回は「患者の意向を尊重した意志決定支援」をテーマに神戸大学大学院先端緩和医療学特命教授の木澤義之先生を招いて学んだ。
 勉強会は2部構成で、前半はアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)の解説がなされ、後半は実際にACPを導入するための方法の説明とロール・プレイによる実習が行われた。
 ACPは「今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス」と定義されている。従来患者の意向を医療に直接反映することができるものとして事前指示書(AD)が存在していたが、近年の研究でADの効力がほとんど無いことが明らかとなった。この失敗を踏まえACPを作成するプロセスでは、医療行為そのものではなく患者の価値観や目標などに焦点を当てること、家族や友人など患者の意思決定を代行する人々を話し合いに巻き込むことなどが重視されるとのことであった。
 ロール・プレイでは参加者全員が医療従事者役と患者役を経験し、ACPを導入する場面での患者の心情変化に注意して、患者の思いや経験を徐々に探索して、決して侵襲を与えないように配慮することが強調された。
 恒例の、管理栄養士とホテルシェフによる健康ランチは、フレイル予防のためのメニューを取り上げた。カロリーを抑える(600キロカロリー)中で、いかにたんぱく質をしっかり摂取するかが解説され、大変好評であった。問い合わせは、事務局(ミック大阪内、電話06―6946―0405)まで。
報告 山寺 慎一(生野区)