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医師・医療関係者のみなさまへ

支援困難事例の取り組みを学ぶ

府医ニュース

2017年10月18日 第2835号

認知症サポート医フォローアップ研修

 大阪府医師会では大阪府・大阪市の委託を受け、三者の共催で年2回「認知症サポート医フォローアップ研修」を開催。平成29年度の第1回同研修が9月2日午後、府医会館で開催され、認知症サポート医(以下「サポート医」)はじめ、認知症疾患医療センター連携担当者、認知症地域支援推進員ら約150人が参加した。
 開会あいさつで中尾正俊副会長は、現在、大阪には273人のサポート医がいるが、新オレンジプランの施策により、全国で5千人いるサポート医が1万人に増員される方針であると説明。今後ともサポート医として、それぞれの地域において、できる限り認知症の人に寄り添う役割を担ってもらいたいと述べた。
 今回は「支援困難事例におけるサポート医のかかわり方と対応について」をテーマとして、府医介護・高齢者福祉委員会委員長の黒田研二氏が座長を務め、同委員会委員の李利彦氏と中村芳昭氏の両氏がそれぞれの地元での活動を中心に報告した。
 李氏は、「松原市高齢者虐待実務者会議における認知症サポート医の役割」と題し、松原市における状況を述べた。毎月1回、行政担当者、地域包括支援センター(以下「センター」)担当医、サポート医(3名の輪番)による会議の模様を紹介。高齢者虐待が増える中、家族が認知症の特性を知らずに虐待に及んでいるケースもあると指摘した。また、虐待している家族の側に認知症、統合失調症、アルコール依存症など、精神疾患が疑われるケースを挙げ、被虐待者だけでなく、虐待者への医療的介入の必要性にも言及。その上で、サポート医が精神疾患についても理解することが大切だと述べた。
 中村氏は、「認知症対策/堺市での取り組み、地域包括支援センターの役割」として、センターにおけるサポート医の関わり方を報告。要介護者の権利擁護や、ケア・マネジメント支援などについて具体例を説明するとともに、認知症支援では、5名の嘱託医が受診困難、支援困難な事例で医療相談を行っているとした。更に、医療職や介護職に向けた研修のほか、「本人」「家族」「支援者」それぞれに対する3種のケアパスを作成していると述べた。29年度には、初期集中支援チームの活用や、症例検討会を通じて早期発見・早期対応を図る予定であるとした。
 両氏の講演後は、黒田座長の進行でフロアとの情報交換、意見交換を通じ、サポート医としての活動の在り方を探った。