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時の話題

「公的医療機関等2025プラン」

府医ニュース

2017年10月18日 第2835号

地域医療構想実現に向け公的医療機関が将来の方向性を示す

 少子高齢化、人口減少の進展により、今後の医療需要が大きく変わることが予想され、各都道府県で地域医療構想が策定された。その後、大阪府では2次医療圏ごとに地域医療構想調整会議(以下、調整会議)が開催され、2025年に向けて地域医療構想の達成に向けた議論が行われている。調整会議の進め方については、将来の医療提供体制を構築するための方向性を共有するために、まずは、地域における救急医療、小児医療、周産期医療等の政策医療を担う中心的な医療機関の役割を明確にする。その他の「中心的な医療機関が担わない機能」や、「中心的な医療機関等の連携等」を踏まえ、地域での役割の明確化を図ることとされている。一方、地方公共団体は、「新公立病院改革ガイドライン」を参考に、平成28年度中に「新公立病院改革プラン」を策定することとされ、9割以上の病院が完了している。
 また、地域の中核病院である独立行政法人国立病院機構、独立行政法人労働者安全機構が開設する医療機関、地域医療支援病院および特定機能病院は、その設立趣旨や責務などから、他の医療機関に率先して地域医療構想の達成に向けた将来の方向性を示すことが重要と厚生労働省は認識している。
 このような考え方から、今後の調整会議における具体的な議論の促進に資するように、厚労省はこれら医療機関(公的医療機関等)が、「公的医療機関等2025プラン」を策定し、そのプランを基に調整会議に参加することで、地域医療構想の達成に向けた具体的な議論が促進されるものとしている。プランには都道府県が策定した地域医療構想を参考に、1.構想区域の人口および高齢化、医療需要の推移、4機能ごとの医療提供体制、医療需要の特徴などの現状2.医療需要の推移、急性期医療の提供体制、急性期医療後の受け皿となる医療機関の資源などの課題3.自施設の現状4.自施設の課題――などを把握・検討。更に今後地域において担うべき役割、持つべき病床機能の在り方についての具体的な計画、数値目標等を記載することとなっている。プランが調整会議における協議の方向性と齟齬が生じた場合には見直しを行い、地域の他の医療機関との役割分担や連携体制を含めて構想区域全体における医療提供体制との整合性を図るものとしている。つまり、公的医療機関等が構想区域内での医療機能を確定し、その他必要な医療機能を他医療機関が埋めていくと言うものではなく、あくまでも調整会議を具体的に進めるための方策との位置付けである。
 次期診療報酬改定の内容や在宅医療の受け皿の整備状況等により変動する不確定要素は多く、多くの医療機関が自院の立ち位置を決めかねていると考えられる。2025年に向けた地域医療体制の整備が急がれるが、地域医療構想は、地域特性に応じて各医療機関の自主的な判断で進められ、徐々に収斂されていくものであり、その実現を急ぐがあまり、議論を拙速に進めるべきではない。