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時事
府医ニュース
2017年10月4日 第2834号
9月19日、厚生労働省から「第2回NDBオープンデータ」が公表された。「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、平成21年より「レセプト情報・特定健診等情報データベース (NDB:National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan)が構築されている。国や都道府県の医療費適正化計画における利用のほか、23年度からは研究者向けに、厳格な審査やルールを課した上で、詳細な個票を含むデータが提供されてきた。
一方で、「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」等において、個別の政策や研究とは別に、典型的かつ一般的な観点からデータを集計し、広く情報提供してはとの議論がなされ、昨年10月の「第1回NDBオープンデータ」公表に至っている。NDBには、保険請求情報の95%以上が集められていることから、オープンデータにおいても、最小集計単位の原則(集計単位が10未満の場合は-〈ハイフン〉表示とする)など、個人が特定されないための加工が行われている。
データ内容は、27年度の、1.医科診療行為、2.歯科診療行為、3.歯科(傷病)、4.薬剤、および26年度の、5.特定健診(検査値)、6.特定健診(標準的な質問票)――の6分野からなり、「都道府県別」および「性・年齢別」の集計がなされている。第1回と比べ、2.と6.が新たに加わり、歯科では初・再診料、医学管理等、在宅医療の項目、特定健診では22の質問項目の回答件数が掲載されている。また、1.では投薬・注射、各診療区分の加算項目が追加され、4.では処方数量の多い薬剤の公表が上位30品目から100品目まで拡大されている。
前回との共通部分は、比較可能な形となっており、1.3.5.については、主要な項目に関し、都道府県の違いが分かるグラフも作成されている。
既に、翌年度のデータ作成への議論が開始されており、第3回の公表は来年の春以降の見通しである。
保険者において、疾病リスクの高い組合員に対して健康指導を行う「データヘルス計画」が進められたり、早速「SGLT―2阻害薬の処方、75歳以上は8%未満」と報じられるなど、自治体でも民間企業においても、レセプトや健診データを分析することは、もはや日常のことになりつつある。
更に2020年(32年)度には、生涯の保健医療データを個人中心に統合し、個人自らの健康管理のみならず、収集・加工(匿名化等)により、企業を含む各機関が活用できる、新しいビッグデータプラットフォーム「PeOPLe(Person centered Open PLatform for well-being)」の運用が目指されている。
データを生み出している医療現場が、最もデータの"山"から遠いところにいることにも、なりかねない。(学)