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医師・医療関係者のみなさまへ

救急災害医療研修会

府医ニュース

2017年10月4日 第2834号

厚労大臣表彰の嶋津氏が講演

 救急災害医療研修会(府医主催)では鍬方理事が座長を務め進行。加納康至副会長のあいさつに続き、救急医療功労者厚生労働大臣表彰を受けた嶋津氏が登壇。「救急医療の過去、現在、未来」と題して講演が行われた。
 嶋津氏は救急医療について、外傷や疾病、体の部位を問わずあらゆる急性病態に対応し、患者の痛みや苦しみに向きあう「医の原点」と指摘。救急医療制度・体制の構築は、交通事故や労働災害などの外傷が増加した昭和30年代後半から進んだと述べた。救急医学は比較的新しい専門領域であり、体制整備とともに新たな取り組みが始まったと説示。48年には近畿救急医学会の初開催および日本救急医学会の設立、また、大阪大学では55年に救急医学講座が開設されたと述べた。
 外傷に加えて疾病への対応強化に伴い、救命救急センターの設置などの体系的な整備、病院前救急も重視されるようになったと報告。近年では、核家族化や高齢化、「コンビニ受診」などの社会背景から、救急搬送件数が増加している状況を提示した。これを踏まえ嶋津氏は、救命救急センター(全国288カ所/平成29年4月時点)の役割も、社会のニーズに応じて変化する必要性を説いた。北米型ERについては、「アメリカの社会背景によって成立するシステム」としつつ、診療能力や教育は参考に資するとした。救急医療の改善に向けて、日本型のシステムを模索するとともに、医療資源の適切な利用について、市民啓発にも力を入れるべきであると締めくくった。

救急医療功労者(団体)の方々

救急医療功労個人・団体 大阪府知事表彰 
〇大阪府立中河内救命救急センター所長 塩野  茂
〇地方独立行政法人堺市立病院機構堺市立総合医療センター看護局外来師長 久保 桂子
〇社会医療法人北斗会さわ病院

大阪市長感謝状贈呈
〇地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター医療監兼市立住吉市民病院新生児科部長・小児科部長・中央臨床検査部長 金  太章
〇社会医療法人協和会加納総合病院

大阪府下消防長会会長感謝状贈呈
〇地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター救急診療科主任部長 藤見 聡
大阪府医師会長表彰
(医療関係)
〇社会医療法人愛仁会千船病院副院長 吉井 勝彦
〇地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター新生児科主任部長 和田 和子
〇社会医療法人景岳会南大阪病院教育研修センター長 新藤 光郎
〇市立豊中病院副院長兼救急科主任部長 東  孝次
〇社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会吹田病院

(消防関係)
〇大阪市消防局消防司令 大津 和久
〇和泉市消防本部消防司令補 藤原 教雄
〇交野市消防本部消防司令補 小方 英治
〇島本町消防本部消防司令補 長野 勝彦
〇大阪狭山市消防本部消防司令補 渡邊 泰司

厚生労働大臣表彰
○大阪大学大学院医学系研究科救急医学教授・大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター長 嶋津 岳士
総務大臣表彰
○国立病院機構大阪医療センター救命救急センター診療部長 定光 大海

(個人の敬称略)