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府医ニュース
2017年10月4日 第2834号
大阪府医師会はATCエイジレスセンターと共催する第128回エイジレス健康講座を9月16日午後、大阪市住之江区南港ATC内にあるエイジレスセンターで開催した。台風18号の接近により開催が危ぶまれる中、府民約40人が参加した。10月10日の「目の愛護デー」を前にした今回は、関西医科大学眼科学助教の盛 秀嗣氏が「白内障の症状と治療」と題して講演を行った。
盛氏は、まず、人間は五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を持つが、視覚からの情報が80%で圧倒的だと説明。その上で、目の構造をカメラにたとえ、加齢とともにレンズに相当する水晶体が白濁すると光が様々な方向に散乱し、目の奥のフィルム(スクリーン)にあたる網膜に届きにくくなるメカニズムを解説。目がかすむ、明るいところで見えにくい、まぶしくなる、近くが見やすくなる、物が二重に見える――などの症状が出てくる状態が白内障であると説明。「皮質白内障」「後嚢下白内障」「核白内障」などの種類があり、見え方に違和感を覚えたら眼科医の受診が不可欠だとした。
更に、実際の治療では、眼薬、内服薬で進行を遅らせることができるものの、症状の改善には手術しかないと説明。今日では、日帰り手術が可能なこと、他疾患がなければ、ほぼ視力の回復が可能なことを紹介した。そして、現在では、日常生活に支障が出た時点で手術という選択肢があることも付言した。
また、手術については、局所麻酔で行い、通常15分程度、早ければ5~6分内に終了する例もあるが、術後も多くのケースで眼鏡が必要と指摘。現在、保険適用手術として行われている単焦点レンズ、また、保険適用外で行われている「遠近両用」の多焦点眼内レンズの手術などの解説を加えた。
最後に手術後の注意として、▽処方された点眼薬は手を洗って使用する▽眼を強くこすらない▽定期的に受診する――などを挙げ、主治医の指示に従うことだと強調。また、手術を受けていない人には、そのタイミングを逸しないよう、眼科での定期的な健診を勧めた。