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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.38

府医ニュース

2017年10月4日 第2834号

続・勤務医の開業志向について
文 山本 一成(東淀川区)

 前回は第23回の会員意見調査結果より、開業医が親族にいるか、いないかで将来の開業する意思に差があることを明らかにした(本紙第2831号)。今回、平成21年から28年にかけて行われた4回の調査結果より、勤務医の開業志向について、経時的な変化を検証した。
 各調査で将来の開業志向をたずねたところ、最も多かったのは「開業しない」であり、次に多かった「今はよくわからない」との合計は23年以降70%を超えていた。
 「開業する」と答えたものは▽第20回8.6%▽第21回5.9%▽第22回7.6%▽第23回6.2%――であった。将来の開業を考えていると思われる「開業する」「条件次第」と回答した2つの合計でみても、26.3%、18.9%、18.1%、17.0%と相対的に開業志向が年々減少していることが認められた。
 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」より、大阪府の診療所開業医数と病院勤務医数を比較すると、病院勤務医数の割合は増加しているが、診療所開業医の割合は12年の28.0%より26年の23.7%まで漸減している(26年までの調査)。
 現在、入院から在宅への医療が推進されているが、開業医を志す勤務医の減少傾向は今後も続くと予想され、かかりつけ医の不足が在宅で生活する患者の医療提供体制を不安定にする可能性がある。開業を希望する医師の減少に対して、何らかの対応が必要と考えられた。