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平成29年度予算案閣議決定

府医ニュース

2017年1月25日 第2809号

応能負担等により社会保障関係費を確保

 昨年12月22日、政府は平成29年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は、97兆4547億円と5年連続で過去最大を更新した。1月の通常国会に提出し、3月末までの成立を図る。
 新規公債発行額は、34兆3698億円と622億円の減少となるが、依存度は35.3%と依然高く、前年度(35.6%)並みである。医療介護などの社会保障費は、32兆4735億円で4997億円増加となった。
 横倉義武・日本医師会長は、記者会見で今回の予算案に対しての日医の考えを説明した。28年度に続き社会保障関係費の伸びに一定のシーリングがかけられた中での予算編成となったことについて、「29年度の自然増が大きければ、30年度の同時改定時に必要な財源が確保できなくなる懸念があったが、結果的に自然増は5千億円となり、同時改定が行われる30年度に削減の積み残しをされなかった」と指摘。「30年度の予算編成過程に向けて、国民が安心して医療や介護を受けることができるよう、引き続き同時改定の財源確保を強く求めて行きたい」とした。
 29年度予算編成の基本的な考え方は、持続可能な社会保障制度を構築する観点等から経済・財政再生計画「改革工程表」等に沿った医療・介護制度改革の着実な実行、協会けんぽ国庫補助特例減額等の効果を総合的に勘案し、対前年比でプラス4997億円とするものである。
 急速な高齢化の中で、「改革工程表」の改革項目を中心に負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化などのために医療・介護制度改革を着実に実行する。具体的には、70歳以上の高額療養費を世代間の負担の公平、負担能力に応じた公平な負担の観点から現役の水準を勘案して見直す(▲224億円)。後期高齢者の保険料軽減特例の見直しとして、所得割の軽減特例および元被扶養者に対する軽減特例を段階的に減らして本則に戻す(▲187億円)。65歳以上の医療療養病床に入院する患者にかかる入院時の光熱水費相当額の負担を引き上げる(▲17億円)。高額薬剤(オプジーボ)の薬価引き下げ(▲196億円)。介護納付金の総報酬割の導入(▲443億円)――などにより、29年度の財政効果は国費▲1079億円と試算した。あわせて、30年度についても一定の歳出削減効果が生じることを勘案して、昨年度と同様、協会けんぽ超過準備金分の国庫補助の臨時削減(▲321億円)を歳出削減効果として計上している。
 厳しい財政状況下、社会保障費確保のための応能負担の考えは理解できるが、過度な負担増が必要な医療の受診抑制につながらないような対応が求められる。