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本日休診
府医ニュース
2016年5月18日 第2784号
先月起こった熊本地方を中心とする地震を巡る様々な報道を見ながら、平成7年の阪神・淡路大震災の時の、私のささやかな支援派遣の経験を思い出しました。
当時私は、他県の公立病院に勤めていましたが、その県では、県職員である医師、看護師、事務職などで数名ずつのチームを組んで、交代で被災地の医療支援に派遣していました。私は3月に2泊3日の日程で行きました。当初の混乱状態からは脱した頃でしたが、それでも避難所では多くの被災者が暮らしておられました。主な仕事は、避難所の中の仮診療所での診療でした。その頃は、受診されるのは、前からのんでいる血圧などの薬を求める患者さんや風邪の患者さんなど、通常の内科診療所と変わらない状況で、医薬品も通常使うものは供給されていました。
印象的だったのは、避難所の中のひとつの小部屋に、各地から送られて来た市販薬が山積みになっていたことです。滞在中の半日を使ってその市販薬の整理をするのも私達の仕事でした。あの大量の市販薬はその後どうなったのでしょう。
今回の熊本地方の地震においても、ある避難所にある物が足りないと報道されると、その避難所だけにその物だけが大量に届き、置き場所に困っているとの報道もありました。
困っている人を見たら何とかしてあげたいという素朴な善意は大切であり、災害時の支援にとどまらず、社会福祉の根底となるものだと思います。それだけに、難しいことではありますが、素朴な善意を交通整理して有効に活用する、冷静なシステム作りが重要であると思います。(瞳)