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メンタルヘルスセミナー

府医ニュース

2016年3月2日 第2777号

学校における「心の問題」を討論

 公立学校共済組合大阪支部では、「元気な学校づくり」の一環として、気軽に心の健康と向き合えるようにと「大阪メンタルヘルス総合センター」を平成27年9月に開設。教職員の悩みや職場環境に対する相談のほか、研修会なども企画している。1月20日午後には「メンタルヘルスセミナー」を開催し、学校・行政管理職ら約140人が聴講した。
 冒頭、向井正博氏(大阪府教育委員会教育長)があいさつ。教職員の健全なメンタルヘルスが教育の向上につながるとして、同センターの役割に期待を寄せた。
 次いで白川治氏(近畿大学医学部精神科教授)が「こころの不調――その気付きと対応のポイント」と題して基調講演。ストレスによる反応は、心の問題に先んじて身体症状として出現するとし、▽不眠▽食欲不振▽易疲労感――など、「周囲がメンタルヘルス不調の早期サインに気付いてほしい」と述べた。また、心の健康問題に関連する休職からの職場復帰の時期は、「専門医でも判断が難しい」と指摘。症状が安定し、健全な生活リズムに戻っているかを確認し、復帰支援を行うよう促した。
 引き続き、「教職員のメンタルヘルスの現状と課題」をテーマにシンポジウムが行われ、大阪府医師会から阪本栄理事がパネリストとして登壇。1.セルフケア2.ラインによるケア3.事業場内産業保健スタッフによるケア4.事業場外資源によるケア――の4つの視点で解説するとともに、「円滑な職場復帰に向けては主治医との連携が重要」と訴えた。
 そのほか、精神保健福祉の立場から澤温氏(大阪精神科病院協会理事/豊中精神保健福祉協議会学校部会委員)、学校長の見解として橋本卓爾氏(大阪府立高等学校長協会)、法的な見地から池田啓倫氏(池田綜合法律事務所弁護士)が、それぞれの目線で発言した。
 フロアからは学校現場での困難事例が示され、パネリストらと対応方法について活発な意見が交わされた。