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大阪府委託事業「難病指定医研修会」を開催

府医ニュース

2016年3月2日 第2777号

新・難病法に基づき研修

 大阪府からの受託事業である「難病指定医研修会」が平成27年12月23日午後、大阪府医師会館で行われた。第1回となる今回は約600人が参集。難病指定医となるための必要な指定難病に関する知識を学んだ。

診断基準の順守が重要

 平成26年5月、「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立。27年1月より施行され、7月からは難病医療費助成制度の対象(指定難病)が306疾病に拡大された。新制度では、難病医療に専門性を有する医師として都道府県知事が指定した医師のみが診断書(臨床調査個人票)を作成することが可能となり、その認定要件のひとつとして「都道府県知事が行う指定医向けの研修の修了」が必要となった。
 これを受け、大阪府では、難病指定医研修事業を府医に委託。診断書作成のために必要な指定難病の検査や診断など、指定医としての研鑽を目指し、27年度は4回にわたり研修会を開催する運びとなった。
 今研修会では、最初に、森谷恭子氏(大阪府健康医療部保健医療室健康づくり課疾病対策グループ課長補佐)が「新たな難病医療費助成制度およびその実務について」と題して講演。難病法制定までの経緯のほか、医療費助成の対象や実務、手続きの案内などを説明した。
 引き続き、「神経・筋難病」と題して、狭間敬憲氏(大阪府立急性期・総合医療センター神経内科部長)が講演。まず、昭和47年10月に厚生省(当時)の「難病対策要綱」に始まり、平成26年の難病法施行では、難病患者の社会参加の機会確保、地域社会における共生が基本理念として掲げられたと紹介した。また、公費負担による医療費助成などの措置が講じられたと振り返った。更に、代表的な神経・筋難病として、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、多発性硬化症――を列挙し、各疾患の診断の流れや判定根拠などを詳述。いずれの疾患も診断基準の順守が重要であると強調した。
 次いで、井上義一氏(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター長)が、呼吸器系の指定難病として、「サルコイドーシス、特発性間質性肺炎」を解説。両疾患とも難治性呼吸器疾患としては頻度が比較的高いと述べ、合併症や臨床調査個人票記入時の注意点などを伝達した。
 最後に三田英治氏(大阪医療センター総合診療部長兼消化器内科科長)が、「難治性肝胆疾患の診断」として、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、特発性門脈圧亢進症、バッド・キアリ症候群――を説明。あわせて、難病患者に対して真摯な態度で接するよう呼びかけたほか、申請にあたっての留意事項などに触れた。
 第2回は1月31日に開催し、約500名が参加。第3回の2月21日には約400名が受講した。なお、3月20日午後1時から府医会館において、今年度最終となる研修会が開催される。申し込みは、府医地域医療1課(電話06―6763―7012)まで。