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府医ニュース
2015年9月2日 第2759号
政府の様々な政策立案にかかわるメンバーでありながら、所属する組織や業界への利益誘導を疑わざるを得ない方々がいる。彼らの所属元は、医師会や農協、学会などの業界団体であることは少なく、私企業の経営者であったり、もしくは、自由主義経済思想に基づいた政策を強く信じている経済学者グループであったりする。労働規制緩和を訴え「正社員は既得権益である」と経済学者の顔で語る一方、人材派遣会社の会長であることをテレビで名乗らない者もいるそうだ。このような人々をレントシーカー(Rent seekers)と呼ぶ。レントとは政治的な利益のことである。
規制を作ればそこに利益が生じる、規制市場では特定の企業だけが利益を独占する、だから既得権益を是正せよ、規制緩和すべきということを言う識者がいる。だが規制緩和によって更に市場を自由化し、特定の企業体(海外企業、グローバル企業)が利益を独占しようとしていることはあまり論じられない。スポーツ界の不正や芸能人の不祥事などにはすぐに反応するマスコミが、なぜかこの仕組みについてはダンマリを決め込む。
農協とともに医師会は「既得権益者」というレッテルを貼られる。そこは読者もよくご存知であろう。市場が自由に参入しにくい分野・業界を既得権益と呼んでいるのだ。しかし、医療、農業、教育、自然などは、宇沢弘文氏の示す社会的共通資本であり、営利主義に陥らないように規制がかけられている。そもそも市場経済と距離を置いた分野であるはずなのに、それらを「岩盤規制」と名付け「ドリル」で打ち壊そうとするのが市場原理主義者である。テレビで出てくるおなじみのメンツが、これら分野における中間団体の既得権益化を訴える時には、裏にこの思想があることを忘れてはならない。彼らは既得権益という言葉を使い大衆の「ルサンチマン」を煽る。プラトンの哲人政治、孔子の徳治主義を学びつつ、来るべきその日に対峙できるよう会員諸氏に訴えたい。(真)