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府医ニュース
2024年11月27日 第3091号
令和6年4月16日、財政制度等審議会・財政制度分科会で「地域別診療報酬」が提案されたことを受けて、松本吉郎・日本医師会長は、8月21日の会見で、医師偏在対策について6項目の日医の考え方を公表した。
(1)公的・公立病院の管理者要件
現在、医師少数区域での勤務経験を求める地域医療支援病院の管理者要件の対象病院を、公的・公立病院にも拡大する。
(2)医師少数地域での開業支援等
開設から一定期間の資金支援策の創設、開業医・勤務医の確保・派遣強化の支援、診療所承継の支援など。
(3)全国レベルの医師マッチング支援
医師少数区域での勤務希望医師へのリカレント研修・現場体験、全国的なマッチングの仕組み、女性医師センターのノウハウの活用。
(4)保険診療実績要件
保険医療機関の管理者として、一定期間の保険診療実績の要件。
(5)地域医療貢献の枠組みの推進
外来医師多数区域における新規開設希望者には、地域で不足している医療機能を担うことを要請する枠組みの制度化。
(6)医師偏在対策基金の創設
医師偏在対策を5~10年で推進するための1千億円規模の基金を国において創設する。
6項目の日医の提案に対し、厚生労働省は、医師偏在の問題に対応するため、「医師偏在対策推進本部」を設置。同年8月29日に、医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案を公表した。年内には、総合的な対策のパッケージをまとめる。骨子案の内容は、次のとおりである。
医師確保計画の深化:人口や医療アクセス状況等を踏まえ、都道府県における医師偏在の是正プランの策定、国における重点的な支援対象区域の選定。
医師の確保・育成:▽医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大、外来医師多数区域の都道府県知事の権限強化、保険医制度における取扱い等の規制的手法を検討▽臨床研修の広域連携プログラムの制度化▽中堅以降医師等の総合的な診療能力等に係るリカレント教育について、7年度予算要求▽医師多数県の臨時定員地域枠の医師少数県への振替を検討――。
実効的な医師配置:▽地域医療介護総合確保基金等による重点的な支援区域の医療機関や処遇改善のための経済的インセンティブ、当該区域への医師派遣等を行う中核的な病院への支援、全国的なマッチング機能の支援▽大学病院との連携パートナーシップについて、都道府県・大学病院にヒヤリング等を行い、対応を検討――。
以上のように、厚労省と日医の案は一部重なる部分がある。しかし、日医は開業規制等の規制的な手法や地域別診療報酬には強く反対している。どのような、パッケージになるか注目される。