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時事

12月で保険証新規発行停止

府医ニュース

2024年11月20日 第3090号

資格確認書、対象拡大へ

 いよいよ保険証廃止(現行の保険証は期限まで使用可能)の12月2日が迫りつつある。患者を中心に不安の声が大きくなっている中、厚生労働省は10月末に「マイナ保険証をお持ちでなくても、これまでどおりの医療を、あなたに」というタイトルの政府広告を新聞に掲載した。これまで政府広報オンラインで、資格確認書に関する情報が提供されていただけに、大きな変化と言える。
 資格確認書とは、「マイナ保険証を取得していない人」に対して、無料で交付されるものであった。オンライン資格確認のみならず、従来の健康保険証と同じシステムで医療を受けることが可能であり、資格確認書の表面には、マイナ保険証とは違い、氏名、生年月日、被保険者の記号番号、保険者情報などが記載されている。現行の保険証と同様、紙もしくはプラスチックで発行される。しかし、マイナ保険証を保持する人は、マイナカードから保険証機能を外すことでしか資格確認書を取得することができなかった。
 今回、政府広告には、保険証と同じ機能を持つ資格確認書の取得対象者が、①マイナ保険証非取得者(申請不要)に加え、次の2つの条件下で届くことが記されている。それは、②新たに後期高齢者になった人(申請不要。ただし来年7月まで)③マイナ保険証での受診が困難な人(申請要)――である。詳しくは「政府広報 マイナ保険証」で検索し参照いただきたい。
 ③の対象者は、高齢者や障害者「など」とされている。対象者の年齢については明確な設定がされていないが、紛失を懸念する高齢者は、申請を行うことでマイナ保険証と資格確認書の2枚を持つことができるかもしれない。また、DV被害者など、マイナポータルや医療機関で自己情報の閲覧が制限されている人々も、資格確認書の職権交付の対象となる。このように、マイナ保険証の紐づけを解除しなくても資格確認書を所持できることは、国民に医療の空白を生じさせないための一歩である。
 一方、マイナ保険証保持者に配布される「資格情報のお知らせ」(以下、お知らせ)という用紙も存在し、保険証の表面情報のうち有効期限を除いた内容が記載されている。これは資格確認のトラブル時における補助的な証明書としての役割を果たすため、資格確認書のように単独での使用はできない。この「お知らせ」を発行するのであれば、コスト面から考えても、すべての人に資格確認書を配布した方が合理的ではなかったか。資格確認書の配付対象を拡大し、手続きの簡素化(オンライン申請など)を実施することで、国民の安心感がさらに向上すると思われる。(葵)